本研究の一部は、「滋賀医科大学 生命情報開拓講座」と共同研究の形で、小島秀人特別教授が先導しています。
組織再生スキャフォールド
壊疽や難治性皮膚潰瘍に対する従来の治療法では、デブリードマンの後に有茎皮弁や遊離皮弁を用いて傷口を塞ぎます。しかし、この方法では本来の組織の再建が難しく、瘢痕や組織欠損が残り、再生には至りません。
私たちは、移植や縫合を必要とせず、ただ置くだけで組織に生着し、QOL(生活の質)を考慮した自然な創傷治癒を促す足場材料の開発を目指しています。特に局所の血流回復に焦点を当て、血管性ニッチの再構築を成功させることで、形成外科、歯科口腔外科、皮膚科領域での臨床応用を検討しています。
発生学的見地から、3Dバイオプリンターを用いて足場材料に細胞標的化ペプチドを表出させるバイオインクを作成し、目的組織特異的な血管構築の設計を試みています。これにより、層別組織再生が自然に進み、肥厚性瘢痕やケロイドを生じない創傷治癒(scarless wound healing)が可能となります。
実際に、滋賀医科大学附属病院再生医療室のcell processing center(CPC)やCPCの環境がある施設で足場を作成し、臨床治験を行うことを目指しています。